赤い光と、人々の叫び声。

絶望と化した、私の・・・一つの家。

そして、妹と、母の死。

友の死。

酷い現実が、そこにある。

どうしたって、拭えなくて、ひどく悲しいもの。




まだまだあった。






幼なじみの死。

ヴァンプ化した、町の知人。

泣きながら、その心臓を銀弾で・・・打ち抜いた。


こんなことが、あったからこそ、私は、ここにいる。


そして・・・


こんな酷いことがあったから、こんどは、兄を奪われるんじゃないか、と思う。


『いつまでも、笑っていてくれ。それが、最後に望むこと』


あの人が、最後につぶやいたコトバ・・・それは、

『血を流しても、涙は流すな』


・・・私達の、『アイコトバ』だった。





悪夢は・・・




貴方のカラダが、消えたあと、強い風が吹いた。

目を開けていられない位に。

そして、風がやむと、バケツをひっくり返したような、雨が降った。

貴方の居なくなったことを、雲が、太陽が、空が・・・泣いているようだった。

雨は、貴方の温もりを洗い流すかのように激しく降った。

私は、温もりを失わないよう、貴方の横たわっていた場所に、私の傘を置いた。

・・・きっと、凄く痛かったよね・・・?

・・・カイト・・・貴方を、殺したのは、私かもしれない。

・・・貴方を蘇らせる・・・蘇らせてみせる。

・・・強くなる、約束も守る。だから、見ててね・・・?









「___________________っおいっ!サラ!起きろ!!!」

「ふぇ?ん?あれぇ?」

「だから言ったろ?早すぎだって。列車、着いたぞ」


(なんだ・・・夢か・・・なんかすごいリアルだったなぁ・・・)

額に汗かいてる。と手の甲で拭う。

今サラ達が、向かっているのは、セフィの町。

そこの闘技場に依頼人は、居る。

なんてややこしい場所なんだ・・・と思いながら、紙切れを見る

「サラ、依頼の金額は?」

「んと・・・、200万ティフィ・・・だけど?」

「少し多すぎないか?」

「それだけ、危ないヤツなんでしょ?」

「妥当な金額ってコトになると、相当やばいな・・・」

「あら、ビビってんの?」

「違うさ」

そんな会話をしながら、闘技場へと向かった。










「「はぁ!?何だそりゃ!?呼び出しといて、ここで一番強いヤツと戦え!!??」」




サラとディルディスが、大きな声を出すのも無理はなかった。

なにしろ呼び出したやさしそーなおじいちゃんが、ここで戦って、負けたら依頼しない。
なんて言い出したのだから。

「だから、戦ってくれといっとる訳じゃ、ほれ」

なんてむちゃくちゃなじーさんだ・・・とばかりに二人は口をオーの字に開きっぱなしだ。

『ふざけんじゃねー、こんのおじはんがぁー!!!あんたは俺達呼んだんだろ!?なのになんで闘技場で戦わなきゃなんねーんだ!?』

ディルディスが、切れた。

ちなみにサラは変身術で少年のまんまだ。
変身術を解いて、『私、女なんで、無駄な体力使いたくないです』的なコトを言えばいいかなぁ?など考えていた。

そしてこのおじいちゃん・・・マイペースすぎる。

ディルディスが、吸血鬼である証の鋭い牙が見えてるのにもかかわらず、ほっほっほと笑っている。
・・・・・・ある意味凄い・・・場の空気読めてない・・・。

「あのー・・・僕は、無駄な体力使いたくないんですけど・・・・」

こうなったら、このままの姿でいいか・・・とばかりに話す。

「ほぉー・・・こんな可愛らしい坊やがハンターなのかい?」

「・・・(汗)・・・一応そうですけど・・・?」

「それじゃあ、この坊やが可愛いからいい・・・襲撃があったときはよろしく・・・若い救世主(メシア)達・・・」

「「?」」

「皆・・・宿に案内してくれるか?頼むな・・・」






「ねぇー・・・あのおじいちゃん、なんか、マイペースだねー・・・」

「・・・・・・俺があんなに怒ってたのに・・・・・・全然効果なかったし・・・」


「200万ティフィかぁ・・・ねー何に使う?」

「・・・タバコ」

「病気になるよ?」

「吸血鬼はならない」

「でもさぁー・・・吸いすぎだよ?だから、没収v」

「なっ・・・あー!!!いっいつの間にー!?」

「えへへvvディルディスがおじいちゃんと格闘してるトキvv僕が近づいても、気づかなかったんだよ」

「返せ!!!」

「ヤだーよ♪」






そして、夜が来る。