「ねぇ、ディルディス。今何考えてる?」

「・・・お前と同じコト考えてる」

「・・・それじゃ、同じコト考えてるかどうか、言ってみる?」

せーの

「「こりゃ墓場だ」」

そのコトバ通り。リリータは死の村のようだった。
地面には、鋭い爪痕。ぬらりと光る血。そして・・・人骨と死体。

「うはー・・・肉まで喰ってる。こりゃヒドイな」
「同感」

「鎮魂歌(レクイエム)歌う間もなく、魂ごと壊された・・・って感じね・・・」

ほら、キレーに肉のカケラ一つ付いてないよ。と言いながら、足下の頭蓋骨を拾う。

「ナカミは?」

「ヒトカケラもナシ」

サラは素っ気なく答えた。

「「!」」
・・・ザワザワ・・・ガサガサ・・・。

「ねぇ・・・今の聞こえた?」
チ・・・チガホシイ・・・。

「聞こえたさ。もちろん」
ぶん!
サラが手に持っていた頭蓋骨をヴァンプ化した、
元ヒトであっただろうモノに投げる。
ゴン!とぶつかった音がする。

瞬間。
ヴァンプ化した男性に銃が向けられた。
ガキン。
「永遠に、おやすみ・・・哀れな魂達・・・」

空色の瞳は、哀しそうな色を帯びたが、迷うことなく、引き金を引いた。

ドォン!!!

銀の銃弾は正確に、かつ速く、心臓を貫いていた。
一瞬のうちにキラキラ光りながら、体は灰になった。
「ディルディス・・・。囲まれてるよ・・・」

「あぁ・・それもたっくさん・・・な」

『『あんた達に鎮魂歌を歌ってやるよ』』

ニッ。と 二人の口の端が持ち上がった。





「さぁーてと。主犯者は誰でしょーね?」

探す?とサラが訊くと、どうすっかなー・・・。とディルディスが悩む。

「ほっといたら、危ないしなぁ・・・」

「狩っとく?」

「うーん・・・ってサラ、何人と組み手したと思ってる?」

「一人50人近く。んで?何?どーすんの?」

「ともかく、一回帰ろう。危ないし」

「そーね・・・でも」

主犯者が肉を喰ったんじゃないと思うの。とサラが呟く。
「咬まれた一人の人間から、どんどん広がったんじゃない?」

「・・・・・・なんで、俺に訊く?」
んーとねと、腕を組みながら考えるサラ。
「バンパイヤだから?」

「疑問を疑問で返すなよ・・・;」

「ん?だって、少しはアイツラの気持ちは分かるかなーって」

「オイ、コラ。俺は非道なヤツじゃねーぞ」
そう?と言った後、ブーツをカツカツ鳴らしながら歩いていくサラ。
「ね。さっさと帰ろう?おフロ入りたいし」

「・・・無視かよ・・・」

スタスタと歩き出した妹を見ながら、ボソリと呟いた。

墓場と化したリリータの町